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高卒採用のスケジュール把握は採用成功のカギ!高卒独自の基本ルールも解説

 出典:文部科学省  普通科・職業学科別進学率就職率)

高卒の就職率は、令和1年の時点で職業科53.9%、普通科で8.3%でしたが、令和6年になると職業科で47.5%、普通科で6.2%と徐々に減少傾向となっています。また高卒採用は企業側にメリットが多いため積極的な企業も多く、争奪戦となっているのが現状です。そのため高卒採用を成功させるためには、高卒採用のスケジュールと独自ルール(三者協定)の把握が重要になります。

ここでは、高卒採用のスケジュールと独自ルールについて解説していきます。

目次

高卒採用を成功させるためにはスケジュールの把握が重要!

高卒採用を成功させるために最も重要なのが、高校生側と企業側のスケジュール把握です。高卒採用を行う上でスケジュールを把握しておくと、高校側と高校生側に自社の情報を提供したり、インターシップや職場見学を行ったりする最適なタイミングを知ることができます。

さらにスケジュールを把握しておくと高校側との連携も深められるので、自社の存在を知ってもらうことができ、学生からの応募を促す効果が期待できます。

高卒採用が増加している理由と背景

出典:令和5年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る 求人・求職・就職内定状況」取りまとめ(9月末現在)

上記の図から分かるように、高卒の求人数は一時大きく落ち込みはしたものの、徐々に増加傾向にあります。その理由は、近年の景気回復や人手不足などです。また企業側にとって大卒採用にはないメリットも多いため、高卒採用のニーズが高まっています。

しかし、高卒で就職する高校生の人数は減少しているため、高卒採用を希望する場合にはそのスケジュールなどをしっかりと把握し、採用活動に役立てる必要があります。

高卒採用の2つの手法・学校斡旋と自己開拓について解説

高卒採用の方法は、2種類あります。ここでは、この2種類の方法について解説していきます。

学校斡旋

学校斡旋は、高校が高校生と企業の仲立ちを行う方法です。

企業はハローワーク指定の求人票を作って高校に送付し、高校はその求人票に基づいて学校内で高校生に求人の紹介を行います。このように全てのやり取りを高校を通じて行われるのが学校斡旋という方法で、高卒採用の主流となっています。

自己開拓

自己開拓とは、学校を介さず自分で応募する企業を探す方法です。一般に公開されているハローワークや企業のホームページの求人情報を通じて、高校生自らが就職を希望する企業を決めます。

近年では高校生を対象とした企業説明会や就職サイトが増えてきたため、自己開拓で就職先を探す高校生も徐々に増えてきています。

高卒採用の年間スケジュール(高校生側と企業)を解説

企業側と高校生側の高校採用のスケジュールは、以下のようになっています。

高校生

  • 4月~6月 三者面談
  • 7月中旬~8月 職場見学・面接練習・応募準備
  • 9月~10月 一次募集選考
  • 9月末~11月中旬 二次募集に向けた情報収集と応募
  • 11月中旬~2月中旬 二次募集選考
  • 2月下旬~3月末 入社準備
  • 4月 入社

企業

  • 4月~5月 採用計画・自社の強み・応募条件や応募要項の整理と情報収集
  • 6月中 求人票提出
  • 7月1日 求人情報公開
  • 7月~8月 高校への求人票送付や高校訪問などのPR活動・応募前職場見学の受け入れ
  • 9月5日以降 応募対応
  • 9月16日 企業による選考開始及び採用内定開始
  • 10月以降 二次募集開始

高卒採用の7つの企業メリットを解説

高卒採用は、企業に7つのメリットをもたらします。そのメリットには、以下のようなものがあります。

人手不足を解消できる

高卒の若手人材を確保することで、人材不足の解消が見込めます。大卒採用と比較すると高卒採用の求人倍率は低いため、多くの人材を採用できるチャンスであるともいえるでしょう。

採用しやすい

高卒採用に積極的ではない企業もあるため、有利な採用活動が可能です。中小企業の場合には特に大卒採用に力を入れているので、特に中小企業の採用活動に関していえば、高卒採用は人材を確保しやすくなっています。

採用コストを抑えられる

高卒採用の場合、高校生は就職活動の中で比較検討する企業が少ないので、内定辞退が非常に少なくなっています。そのため企業側は選考に割く人員を減らすことができ、採用のための業務を大卒採用の場合の4分の1にまで減らすことができます。

将来的な戦力を長期育成できる

大卒の新卒が就職する22歳の時点で、高卒採用で入社した社員は既に4年間の実務経験を積んでいます。4年間の実務経験年数は大きなスキルの差となり、若くして責任がある仕事を任せられる人材も出てくるかもしれません。

このように若手の長期戦略化が可能になるため、企業の活性化につながります。

社内ピラミッドが改善できる

高卒製の新卒採用を継続していくと、社内平均年齢が下がり社内ピラミッドの改善に役立つというメリットがあります。それ以外に、若手の基盤を固められるということもメリットの一つであるといえるでしょう。

社風の改善が図れる

高卒社員はその若さゆえに、素直な人材がほとんどです。そのため社風改善を図ることができ、経営基盤の強化も期待できます。

既存社員の意識向上が期待できる

高卒社員を採用した場合、既存社員の高卒社員に対する教育意識が高まり、目線が一段階上がるというメリットが期待できます。

高卒採用と大卒採用の違いを比較

高卒採用の場合には、採用時期や応募手段が企業側・高校生側ともに横並びで行われます。ただし高卒採用の方法は県ごとに規定が異なるケースもあるので、注意が必要です。

一方の大卒採用は、政府から一定の要請はあるにしても、企業は自社の採用基準に基づいて活動時期や応募手段を自由に設定できます。大学生側も就職活動を自分で決定できるので、大卒採用は高卒採用と比較すると自由度が高いといえます。

高卒採用独自の基本ルールは7つ

高卒採用には、大卒採用にはない7つの独自の基本ルールが存在します。ここでは、その独自の基本ルールについて解説していきます。

一人一社制が採用されている

一人一社制とは、企業や就職への知識が十分ではない高校生のために、高校側が積極的にサポートを行い、内定率を高めるものです。この制度は、各都道府県が学校責任者や経済団体関係者、行政とともに定めています。

基本的に、一次募集の際に一人一社制が採用されます。

生徒への直接連絡禁止されている

企業側が高校生と直接連絡を取ることは禁止されているため、企業情報は必ず高校を通して企業と高校生がやり取りする必要があります。

書類選考のみでの合否判定は禁止されている

高卒採用の場合、基本的に書類選考のみでの合否判定は禁止されています。選考時には適性検査や面接、作文なども行わなければなりません。

全国高等学校統一応募用紙の使用しなければならない

高卒採用では、全国高等学校統一用紙を使用するという基本ルールがあります。そのため、企業独自の応募書類は利用できません。

求人票にはハローワークの確認印が必要になる

高卒採用を行う場合には、ハローワークに申請し求人票を発行する必要があります。この求人票には、ハローワークの確認印が必要です。

求人票と求人募集の解禁時期が一律に決まっている

高卒採用では、求人票や求人募集の解禁時期が一律の日に定められています。その理由は、仕事に対する知識や社会人経験が乏しい高校生が損失を受けることなく、平等に就職活動を行えるようにするためです。

本人の能力・適正以外の事柄を合否の基準にしてはいけない

高卒採用の面接では、本人の能力や適性に関わる事柄以外の質問をしてはいけません。禁止されている質問は、両親の出身地や尊敬する人などで、これらの質問が職業差別につながる恐れがあるためです。

高卒採用独自の基本ルールがもたらす5つの企業メリット

 

高卒採用独自の基本ルールは、企業側にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。ここでは、高卒採用独自の基本ルールによって企業が得られるメリットについて解説していきます。

優秀な人材の採用が可能になる

高卒就職者は大卒採用者と比較して母数が少ないため、職場訪問を通じて優秀な就職希望者と出会えるチャンスが多くあります。また、一人一社制により内定が出た企業に就職するのが一般的なので、内定辞退が少ないというメリットもあります。

学校斡旋は企業側にとってもメリットが大きい

学校斡旋の場合、高校の進路指導担当者が本人の適性に合った企業を仲介してくれ、一人一社制で就職活動が進みます。そのため、倍率が低く内定しやすいことから、企業には学校斡旋の方がメリットが大きいと言えます。

採用活動にかかる時間の短縮が可能になる

高卒採用独自の基本ルールでは、求人票の提出から内定解禁日までの期間が3か月半と短いため、採用活動に費やす時間を短縮できます。

企業と求職者のミスマッチを低く抑えられる

高卒採用独自の基本ルールにより、企業と高校生の間に高校が入ることが定められています。高校側が生徒の適性を見極めるなどしてある程度絞り込んで企業に推薦するため、大卒採用のように膨大な人数の求職者の中から内定者を決める必要がありません。

地域とのつながりを深められる

高校は周辺地域から通学する生徒がほとんどなので、高卒採用を行うと地域とのつながりを深めることができ、地元で人材を確保できます。

高卒採用独自の基本ルールに潜む3つのデメリットとは

高卒採用独自の基本ルールには、デメリットもあります。ここでは、そのデメリットについて解説していきます。

希望する学生を採用できない可能性がある

高校側から推薦される生徒は、学校側の基準で企業側に向いていると判断された生徒です。しかし、その生徒が必ずしも企業側が採用したいと思っている人材ではない可能性もあります。

学生の能力を適切に把握できない可能性がある

生徒と企業が直接接することが原則として禁止されているため、企業側が直接その生徒の適性や能力を見極めることが難しい可能性があります。

採用活動の自由度が低くなる可能性がある

企業は高校側が推薦した生徒の中から採用したい人材を選択するので、企業側の採用活動の自由度は低くなってしまいます。

高卒採用スケジュール開始前に企業がすべき4つの準備

企業側が高校採用活動スケジュールのスタート前に準備しておくことで、自社に合った高校生を採用しやすくなる事柄があります。ここでは、そのやっておくべき事柄を解説していきます。

早い段階で採用戦略の準備を行う

高卒採用はスケジュール通りに進み、内定までの時間も短いことから、早い段階で採用戦略を準備しておくことが重要になります。事前の準備の内容は、求人票の作成・発送、高校訪問を行う場合は訪問先の決定とそのアポイントメント取り、職場見学の実施方法、採用選考プロセスの決定などです。

これらすべてを、求人票の受付が始まる6月1日までに終わらせておきましょう。

求人票公開前に高校を訪問する

高校の進路指導担当者や高校生との交流の機会として、説明会は重要な役割を果たします。説明会のために高校を訪問すると、自社の印象アップを狙える以外にも、高校の就職状況の把握が可能になります。

職場訪問やインターシップを実施する

高卒採用を積極的に行いたいと思っている場合には、職場見学やインターシップの実施が非常に効果的です。これらを利用すると、高校生に実際に自社で働く将来をイメージしてもらいやすくなり、このイメージから応募を決める高校生も少なくありません。

面接官のトレーニングを行う

高校生であっても、模擬面接などで面接対策を行ってから企業の面接に臨むでしょう。しかし大卒予定者と比較すると、面接慣れという点に関していえば経験不足であるケースが多いので、面接官をトレーニングしておく必要があります。

高卒採用の際の面接では、質問により一人ひとりの長所を発見することが大切です。どのような質問をすれば高校生の適性や人となりを知ることができるのか、しっかりとトレーニングしておく必要があります。

高卒採用の一次募集と二次募集の違いを比較

二次募集で応募してくる高校生は、一次募集で内定が出なかった生徒だけではなく、進路を進学から就職に変更した生徒もいます。そのような高校生の中には、より高い潜在能力を持っている人材も多く、そのような人材を採用できるチャンスであるともいえるでしょう。

また、二次募集では高卒採用独自の基本ルールは採用されないため、一次募集とは異なる自由な採用活動と就職活動が行えます。

まとめ

高卒採用を行うためには、スケジュールの把握は非常に重要です。求人票の公開から内定までの期間が短い高卒採用は、時間との闘いだからです。スケジュールに沿って円滑に高卒採用を行う場合には、事前の準備も欠かせません。

また、高卒採用には独自の基本ルールがあるため、どの時点でどのルールが適用されるかを正確に把握しておく必要もあります。高卒採用を行うにあたってスケジュールを正確に把握しておくことは、「キホンのキ」であると考えておきましょう。